ローマ字

 小学4年生の子どもたちは、今、学校でローマ字を習っているそうです。私が小学生のときも、確か5年生だったと思いますが、ローマ字を習いました。ローマ字はどちらかというと得意なほうで、「リンゴ」を「ringo」と書いただけなのに、英語が書けるようになった気がして浮かれていたような記憶があります。
 先日、ある女の子が「同じクラスのKくん(彼もここの生徒です)が、ローマ字の時間に先生(私)にダマされたって言ってたよ」と言ってきました。話を聞いてみると、ここで習った名前の書き方とローマ字での書き方が違うので、(なぜか学校の先生ではなく)私がウソを教えたと思ったようです。長音があるKくんの名前は、ローマ字では文字の上に山型の記号が入るのですが、英語では当然使いません。「ひとつの名前を、同じアルファベットという文字を使って書くのに書き方が2つあるなんておかしい。どちらかがウソだ!」とKくんが思うのも無理はないなぁと思いつつ、では、小学校でローマ字を習うことに意味はあるのか、それよりも英単語のひとつも教えたほうがいいのではないかと考えてしまいました。
 結論から言えば、ローマ字を教えることには意味があるだろうと思います。高校、大学時代になってやっと“ワープロ”が普及し始めた私たちの世代と違い、今では各家庭にコンピュータがあるのが当たり前の時代。コンピュータでレポートを書いたり、ネットで情報検索したりとローマ字を使う機会は私たちの子供の頃よりずっと多いです。キーボードのアルファベット26文字の位置を覚えれば、日本語も英語も打てるのだから、それだけでもローマ字を知っていることはとても有用です。
 小学校低学年から英語を学習する子が多くなってきた今は、小学校高学年でローマ字、そのあと中学で英語ではなく、ローマ字のほうをあとから習うということも珍しくありません。前出のKくん。フォニックスで学習した”ake”を使って、”snake”という単語がつづれていたのに、ローマ字を習った後のテストでは”sneiku”と書いてあり、愕然としました。ローマ字と英語を混同してしまっているようです。ローマ字はアルファベットを使うけれども、あくまでも日本語なのだと話しましたが、どうも腑に落ちていないようです。英語を教えるものとしては、英語とローマ字の違いを強く教えていく必要を痛感しました。