コラム

 ro-maji wa hitsuyou desuka?

私が小学生の頃(もうン十年前ですが)は、たしか6年生でローマ字を習いました。アルファベットでringoと書いたのを、英語が書けたような気になっていたのを思い出します。
今は小学3年生でローマ字を習うそうですね。

 

英語を習って2年目のT君が、「学校のローマ字のテストで100点取れたよ!」と嬉しそうに報告してくれました。e-cubeではKidsコースの1年目にアルファベット26文字とその発音を習います。英語なので、ローマ字(つまり日本語)とはちょっと違うのですが、フォニックス学習がローマ字を覚えるのに役に立っているのだと思います。

 

私の時は逆でした。先にローマ字を習い、中学校で英単語のつづりを覚えるときに、ローマ字読みで覚えていました。例えばrestaurant レスタウラントのように。これはこれで、便利だったように記憶しています。

 

ローマ字から入るから日本人は英語(特に発音)が下手なのだ、ローマ字の学習はしないほうがいい、という意見があります。パスポートの名前や街中の看板などに使われるローマ字がヘボン式であるのに、小学校では訓令式を教えるので、子どもたちにはややこしいのではとも言われます。中学校で英語の授業が始まると、「si(し)」は「shi」、「ti(ち)」は「chi」と学び直すので、確かにややこしく、「小学校で習ったのは何だったんだ?」という気にもなるでしょう。そして、ローマ字を習う前に英語のフォニックスを習った子にとっては、訓令式の「ti(ち)」の発音は違和感の塊(大げさ?)かもしれません。

 

では、なぜ小学校3年生ででローマ字を習うのか。

 

今の子どもたちは生まれた時からパソコンやインターネットが当たり前にあり、それらを使うにはローマ字でキーボード入力することが不可欠で、また日常生活にもローマ字は溢れていることを踏まえ、早めに学習しようという意図だそうです。私も何年か前に、「ローマ字を習う必要がありますか」とあるお母さんに聞かれ、パソコン入力で必要となるので、英語とは別のものだとしっかり理解させたうえで、習う価値はあると思うと答えたことがあります。

 

ただ、今はまた状況が変わっています。先日聞いてとても驚いたのですが、スマホ普及率が高くなってきて、パソコンが使えない若者が増えているそうです。小学校からパソコンの授業があった世代なのに、社会人になって会社に入っても、キーボードやマウスの使い方に不慣れで、パソコンを使った業務に支障をきたしているというのです。スマホのフリック入力は、私から見れば光のような速さでできるのにキーボード入力ができないのです。たしかに、様々なアプリがあり、パソコン以上の機能が詰まった小さくて軽いスマホがあれば、決して安くはないパソコンを持つ必要はないと思うのも無理はないかもしれません。それに今のスマホは文章の音声入力もできるし、人工知能と会話して必要な情報を検索してもらうこともできます。今はキーボード入力が不便でも、パソコンが同じような機能を持つのもきっと時間の問題、あるいはパソコンよりもスマホよりも優れた便利なデバイスがすぐに出てくるでしょう。

 

となると、小学校でのローマ字学習は不要か?

 

私は性格が大雑把なのか、習えるものは習っておけばいいのでは?という考えです。知識として身に付けたものは、程度の差こそあれ、役に立たないものはひとつもないと思っています。前述したように、英単語を覚えるのにローマ字の知識が役に立つのなら使えばいいし、いつの日かまわりまわって、キーボード入力が再び必要となる時代が来ないとも限りません。人口減少の深刻な日本に、訪日あるいは在日外国人が増え、難しい漢字は廃止、すべてローマ字表記で、となるかもしれません。(なってほしくはないですが…。)

 

ン十年前に覚えたローマ字ですが、私は未だに忘れていません。子どもの柔らかい頭に入った知識は、そう簡単にはなくならないのです。例えば国語の学習時間を減らしてまでローマ字を習う必要があるかと言われればもちろんNOですが、子どものうちに習えることはなんでも習っておけばいいと思います。

ただ、訓令式のローマ字を習う必要はないかな。広く一般的に使われているヘボン式を最初から教えればいいのではないでしょうか。

 

みなさんはどう思われますか。

 

 

 

 

 ホームステイ5か条

先日、イギリスからの交換留学生をご家庭に迎えているご家族のお話をブログに書いたのですが、今朝、毎日聞いているPodcast “All Ears English” で、ホームステイに行くとき心にとどめておくことについて話していたので、シェアしてみたいと思います。

 

1. 自分の地域や国のちょっとしたお土産を持っていく
名産品やお菓子など、また地図などをプレゼントし、自分が住んでいる町がどんなところかを話してあげると喜ばれる

 

2.早い段階でHouse Rules(その家の決まり事)を聞いておく
例えばcurfew(門限)があるか、家の中では靴を脱ぐか、chores(日課・家事など)でお手伝いできることは何か、などを尋ねておく

 

3. 文化の違いがあって当然と認識し、自分の考えをはっきり述べること
食事の仕方ひとつとっても、自分の国のやり方とは異なることがたくさんあるはずなので、知らずに違うことをしてしまってホストの子どもたちに笑われたりしても、恥ずかしく思ったり、不愉快に感じる必要はない。自分の国ではこうするが、この国ではどうするのか教えてほしいと聞けばよい

 

4. 必要なことがあればきちんと口に出していうこと
I want ~、I need ~といった表現は直接的で失礼なので、I would like ~、Would you mind me ~などの表現を覚えておく

 

5. 習ってきた英語と実際に使われている英語が違って戸惑うことがあるかもしれないが、わからない時は「わからない」とはっきり伝え教えてもらう

ホストファミリーも”家族”を迎えることを楽しみにしているし、perfectであることを期待してはいない。人と人としてのつながりが大事。

 

これは、アメリカにホームステイに行くというリスナーの質問に答えてのtipsだったのですが、どの国にホームステイに行くことになっても当てはまることだし、日本人が同じ日本人の家にしばらく滞在することになっても当然気をつけるべきことだと思います。
ただ、「はっきり言う」「きちんと口に出す」というのは日本人では苦手な人が多いかもしれませんね。日本は「空気を読む」のを良しとする文化ですから。私もどちらかというと苦手です。でも、私の経験からすると、だんだん慣れてきます。というか、これじゃやってけないと思う日が来ます。そして新しい自分になれるチャンス到来!とポジティブに考えればいいのです。

 

plus

新しい家族と暮らしたり異文化に触れることは緊張し、疲れることだと理解しておく。

 

ホームステイは限られた期間のこと。嫌なこと、うまくいかないことがあってもそれがずっと続くわけではないし、あとになって振り返ってみれば、それすらもいい思い出になる。

 

Honeymoon Periodがある。最初は何を見ても聞いてもGREAT!と感じるが、壁にぶち当たる時がくる。

 

自分の国、相手の国、どちらの文化も違いはあるけれど、すばらしいものである。そして、それを体験(探検)中。

 

番組のホストの話を聞いていて、私自身のホームステイ体験を懐かしく思い出しました。メールもインターネットも普及していない時代。自分で行くと決めたことなのに、思うようにいかず辛くて泣いたこともありました。

でも、一生のうちのほんの短い異文化体験を実りあるものにできるかどうかは自分次第。たとえ失敗しても得るものは必ずあります。

 

 何のためのホームステイ?

ある生徒さんのお宅に、今イギリスからの交換留学生がホームステイをしているということで、そのお宅のお母さんにお話を伺いました。
結論から言うと、ちょっと苦労されているそうです。

まずは食事。彼は好き嫌いが多く、出した食事に全く手を付けないこともあるのだとか。特に野菜はほとんど食べないそうです。朝持たせるお弁当も残っていることが多かったり、帰宅後お弁当箱を黙って差し出すのが、「ちょっとね、解らない」と言っておられました。
また、何か家のお手伝いを申し出たり、積極的に家族と交流したりということもなく、自室にこもってスマホで電話したり、動画を観たりしているということでした。

「今はそれができてしまうからね。」

固定電話しかない時代には、電話を使いたいとお願いするしかなかったし、自室にいてもやることがないからホストファミリーと一緒にテレビを観たりして過ごす中で、自然にコミュニケーションも生まれていました。
今では、一人で食事をしている人はともかく、家族で外食していても、それぞれがスマホの画面を見て話もしないという風景が珍しくなくなりました。自分の家族でもそうなのですから、気兼ねする異国のホストファミリーとだったらなおさら、一人で気ままに時間が潰せる道具に逃げたくなるのかもしれません。

もう20年以上前、私が初めてホームステイをしたときは、お客としてではなく家族として迎え入れてくれるのだから、自分も家族として積極的に手伝いをしたり会話したりしなさいと言ってくれる人がいました。また、ホームステイとは関係なく、よそで出されたものはたとえ口に合わなくても、ありがたくいただきなさいと親に言われて育ってきた日本人は多いと思います。自分自身も、せっかく外国の生活が体験できるチャンスだから、たくさん見て、聞いて、吸収しようと貪欲でした。

件の留学生がどういう経緯で日本に来ているのかはわかりません。まだ14・5歳で、もしかしたら本人は来たくなかったのに、親に無理やり行かされたのかもしれません。内気な性格の子もいるし、例えば家での手伝いひとつとってもそれぞれのご家庭の方針もあるでしょう。手伝いはしなくてもいいから勉強しなさいと言われて育ってきているのかもしれません。

それでも。

やっぱりもったいないと私は感じてしまいます。人生で最も多感な時期に、異文化に触れられるせっかくのチャンスをみすみす逃すのは本当にもったいないです。

教室の生徒さんの中にも、短期のホームステイや中学や高校の研修旅行で外国に行く子が毎年います。「日本にいてもできるようなことはするな!そこに行かなければ見られないもの、できないことをしてきなさい!」と檄を飛ばして送り出したいです。

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